「ツーリングに向いているバイクは?」とよく聞かれます。
しかし、ツーリングの距離や時間、目的によって向いているバイクが異なるため、簡単に答えることは難しいです。
高速道路を使って1日に1000km以上移動するツーリングに行くときは、大型が向いているかもしれませんが、下道を使って100kmほどのツーリングには125ccの小型バイクの方が向いているでしょう。
今回はツーリングの目的や距離などさまざまな条件に合っているバイクを、現在新車で購入可能なモデルを中心に徹底的にご紹介いたします。
また後半部分では、おすすめのツーリングスポットもまとめていますので、ツーリングコースを決めるときに参考にして頂ければと思っております。
下道ツーリングに向いているバイクの条件
一般道をゆっくりと走るツーリングに向いているバイクは、スピードや防風性能よりも取りまわしや足つきの良さを重視した小型・中型のモデルです。
また1日に300km以上走るようなロングツーリングなら、ライティングポジションの自由度が高いモデルだとお尻や腰への負担が抑えられるためベターといえます。
また低燃費のモデルならお財布に優しくて経済的です。
HONDA「クロスカブ110」

街乗りや少し荒れた路面のツーリングにも向いている、スタイリッシュなデザインのクロスカブ。
シート高は784mmと少し高いですが、車両重量106kgと軽いため街乗りでも取りまわしに困ることはないでしょう。
クロスカブは高い燃費が大きな特徴です。
カタログ値ではリッター当たり66.7kmと軽々60kmを超えています。
大きなリアキャリアは、シートバッグやトップケースも積みやすい形状で、かなり多くの荷物が積載可能です。
ただし軽量なクロスカブに荷物を高く積み過ぎると横風の影響を受け危険なため、荷物を多く積む必要がある泊りがけのキャンプツーリングなどにはあまりおすすめできないモデルです。
YAMAHA「NMAX」

125ccと155ccのモデルがあるヤマハのスクーターNMAX。
シート高765mm、車両重量131kg(125ccモデル)と取りまわしが楽なスクーターです。
21年モデルで燃料タンク容量と燃費が共に高くなり、より長距離を走りやすく改良されました。
ステップボードが広く足を前に伸ばすこともできるため、長距離を走行しても疲れにくいポジションニングを取ることが可能です。
125ccと155ccがありますが、155ccの方がより長いロングツーリングに向いているモデルといえるでしょう。
SUZUKI「バーグマン200」

バーグマン200は、スズキが発売しているミドルタイプのスクーター。
スクーターの魅力は、なんといってもシート下の積載容量です。
バーグマンは約41ℓもあるため、雨具やちょっとしたお土産などがシート下に簡単に収容できます。
最近のミドル・ビックスクーターの中ではシート高が735mmと低く、下道のロングツーリングも立ちコケの心配をせずに楽しめるでしょう。
HONDA「Rebel 250」

アメリカンタイプのバイクでシート高が690mmと足つき性は抜群です。
車両重量は170kgと250ccのバイクとしては標準的な重さであるため、初心者や女性ライダーでも扱いやすいバイクといえるでしょう。
防風性能は低いですが、下道ツーリングでは風の体への影響はそれほどないため、風の影響をそれほど感じることがなくツーリングを楽しめるはずです。
長距離ツーリングで早く帰りたくなってしまった場合でも、高速道路を利用できるため心配いりません。
YAMAHA「MT-03 ABS」

ヤマハから発売されている2気筒のネイキッドバイク。MT-03の特徴は軽い車両重量です。
車両重量はワンランク下のMT-25と同じ169kgと320ccバイクとしては軽いため、女性でも取り回ししやすく下道のツーリングに向いているモデルといえるでしょう。
MT-25も下道ツーリング向きのバイクといえますが、長距離ツーリングで万が一のとき高速道路を利用することまで考えると、パワーに余裕のあるMT-03の方をおすすめします。
高速道路を使ったツーリングに向いているバイクの条件
高速道路を使ったロングツーリングに向いているバイクは、防風性能が高いバイクです。
下道を走っているときはそれほど気にならなかった風ですが、100km前後で走る高速道路の風は体にダメージとして残ります。
風をまともに受ける状態で数時間走ったあとのなんとも言えない疲労感を感じたことがあるはずです。
そのため、今回おすすめするバイクは、全て防風性能が優れているバイクから選びました。
また高速道路は途中で頻繁にとまって休憩できません。
体への負担を軽減するために走りながらライティングポジションを変えることができるバイクが、高速道路を使ったツーリングに向いています。
HONDA「FORZA」

FORZAは、ホンダから発売されている250ccのビックスクーター。
一番の特徴は、電動式可動ウィンドスクリーンです。
走りながら風の状況にあわせてウィンドスクリーンの高さを調整できます。シート幅が広くポジションも変えやすいため、お尻が痛くなる可能性は低く、高速道路を使ったロングツーリング向きのバイクといえるでしょう。
シート下の積載容量は48ℓと大きく、雨具やお土産なども収容可能です。
250ccのため長時間高速道路を走るのに不安に感じている方もいるかもしれませんが、100km巡行はできる十分なパワーをもっているので安心してください。
YAMAHA「TMAX560 TECH MAX ABS」

TMAX560 TECH MAXはヤマハから発売されているスポーツスクーター。
このモデルの特徴は、風と寒さ対策です。風の状況にあわせて電動でスクリーンの高さを調整できるため、風から受ける疲労を抑えることができます。
また高速道路は下道を走るよりも体感温度が低く、寒さ対策をしないと1年の半分は走ることが難しいほど寒いです。
このモデルにはグリップヒーターとシートヒーターが搭載されているため、寒さ対策もされています。
グリップヒーター程度では寒さ対策にならないと思う方も多いと思いますが、掌だけ温かいだけでも体感温度はかなり違ってきます。
シート下の積載容量は約45ℓあるため、カメラ機材や雨具、折り畳みの椅子などのキャンプ道具などさまざまなものが収容できるため便利です。
SUZUKI「Vストローム1050 XT」

Vストローム1050はスズキから発売されているアドベンチャーバイク。
Vストロームシリーズはどれも防風性能が高いモデルのため、高速道路を使ったロングツーリングに向いているバイクですが、その中でも一番パワーがあるVストローム1050がおすすめです。
時速100km程度ならアクセルをわずかに開くだけで十分なパワー、車体がぶれることがない安定性は高速道路での移動に向いています。
防風性能が高いため高速道路を長時間走っても、全く疲れを感じさせないバイクです。
ワインディングを楽しむためのツーリングに向いているバイクの条件
バイクを乗る醍醐味ともいえるワインディング。車体を寝かしてリズムよく曲がれたときの爽快感は最高です。
ワインディングを楽しむためには、パワーやライティングポジションよりも、コーナーリング性能が高いバイクが向いています。
一般的なツーリングには向いていないSSモデルが、ワインディングを楽しむためには向いているモデルです。
SUZUKI「GSX-R125 ABS」

GSX-R125はスズキから発売されている小型のSS。
大型のようにコーナーの立ち上がりの加速は期待できませんが、ワインディングを楽しむには十分なモデルです。
小型のため維持費が安いため、セカンドバイクとしてSSタイプのバイクを探している方にはおすすめできるモデルといえます。
KAWASAKI「Ninja400」

Ninja400はカワサキから発売されているミドルタイプのSS。
車両重量が167kgと400ccバイクとしては軽量なモデルです。
Ninja400は軽量でコンパクトな車体をしているため、初心者もワインディングを楽しめるように仕上げられています。
シートは比較的厚めでお尻は痛くなりにくく、エンジンの振動も少ないため体への負担は少ないでしょう。
ミドルタイプのSSでワインディングを楽しみたい方におすすめのバイクです。
YAMAHA「MT-07」

MT-07はヤマハから発売されているネイキッドバイク。SS的なシート幅と硬めのシートは、前傾し腰を落としたライティングポジションにマッチしています。
コーナーに向けて車体を倒し込んでいくと、絶妙なタイミングで前輪がイン方向に向き、滑りそうな感じも全くありません。
MT-07は、バイクとの一体感と操っているという感じを味わうことができるモデルです。
キャンプツーリングに向いているバイクの条件
キャンプツーリングに行くには、多くの荷物を積載できるバイクでなくてはいけません。
シート下の積載容量の大きさだけではなく、キャリーバッグやサイドケースを取りつけることができるかが重要です。
アドベンチャーやツアラーバイクの中には、純正のサイドケースやリアボックスが発売されているモデルもあるため探す手間が省けます。
またキャンプ地は舗装されていない道を走ったり、押し歩きしたりしなければいけない場所もあるため、取りまわしのしやすさもチェックしておく必要があります。
HONDA「CT125・ハンターカブ」

ハンターカブは、片道100~200kmのソロキャンプツーリングにおすすめのバイク。
リアボックスを取りつけてその上にバックを固定すれば、ソロキャンプ用の荷物なら十分搭載できます。
重い荷物を積んでも対応できるように前後ディスクブレーキが搭載されていることも、キャンプツーリングに向いているモデルといえるでしょう。
KAWASAKI「VERSYS-X 250 TOURER」

VERSYS-X 250はカワサキから発売されているアドベンチャーツアラー。
サイドタンクが標準で取りつけられているのが大きな特徴です。
両サイドのサイドタンクを使えば新たにリアボックスやバッグを取りつけなくても、短期間のキャンプに必要な道具程度なら収容できるでしょう。
搭載されているエンジンは、Ninja250に搭載されているエンジンを基に開発されているため、高回転域での伸びがあり高速道路を使ったツーリングにも向いているモデルといえます。
HONDA「X-ADV」

X-ADVはホンダから発売されているアドベンチャーモデル。高速道路からダートまで快適に走ることができるモデルです。
車両重量は236kgと重く取りまわしは楽ではありませんが、舗装されていない多少のダートなら走ることができるため、それほど不便を感じないでしょう。
ウィンドスクリーンは5段階、高さ135mmの範囲で工具いらずの手動で調整できます。グリップヒーターが搭載されているため、温度が低い日にも走ることができます。
シート下の積載容量は22ℓと狭いですが、専用のリアボックスやサイドケースが発売されているためこれらを利用すれば、新たにバックなどを取りつけなくても十分な荷物を積めるでしょう。
HONDA「CRF1000Lアフリカツイン」

CRF1000Lアフリカツインは、ホンダから発売されているアドベンチャーバイク。
フロントタイヤには21インチの大型スポークタイヤを装着されているため、舗装がされていない道の多少のギャップは問題なく走ることができるでしょう。
寒さ対策としてグリップヒーターが搭載されているので、冬場や標高が高い山でのキャンプをするときも安心して走れます。
純正品としてリアボックスやサイドケースが2種類ずつ発売されているため、好みに合わせて選ぶことができます。
初めてバイクを選ぶときはこの5点をチェックしよう!
さまざまな目的別にツーリングに合っているバイクをご紹介してきましたが、どのモデルを選べばいいかわからないときには排気量、シート高、車両重量、防風性能、ライティングポジションをチェックして選んでください。
排気量
日本の道路で1000ccを超えるようなパワーは発揮する場所がありません。
150cc以上のバイクなら高速道路を走ることはできますが、エンジンへの負担と余計な振動による体への負担を考えると、長時間高速道路を走ることはおすすめできません。
そのため高速道路使ってロングツーリングに行く場合は、400cc~1000ccのバイクをおすすめします。
車両重量
高速道路を使ってツーリングするとき、横風の影響を軽減するためある程度の重量があった方がよいですが、下道を使ってツーリングをするときは取り回しが大変になるため200kg以下のモデルをおすすめします。
シート高
シート高は、足を着くことが多い下道ツーリングをするときに特に大切です。
立ちコケ防止のために両足のかかとまでしっかり着くモデルが理想ですが、それでは身長が低い方は乗れるバイクがなくなってしまうでしょう。
そのため、両足が着く必要はありませんが、座ったまま少し体を傾ければ、片足がべったり着くモデルを選びましょう。
防風性能
防風性能は、主に高速道路を使ってツーリングする場合に重要となります。
ウィンドスクリーンの目的は主に2つあります。風圧による体へのダメージ軽減と寒さ対策です。高速道路を長時間ツーリングする場合は、防風性能の高いモデルを選びましょう。
ライティングポジションの自由度
ライティングポジションは、下道を使ったツーリングで、頻繁に足を着いて姿勢を変えられる場合はまだよいのですが、高速道路のように長時間乗りっぱなしのツーリングを行うときに重要になってきます。
どんなに楽な姿勢でも長時間同じ姿勢をとっていなければいけないのは大変です。
まして前傾姿勢をとらなければいけないSSなどは長時間のツーリングには向いていないバイクといえるでしょう。
お尻の痛さは、ライティングポジションの自由度だけではなくシートの硬さにも影響をするので、バイクを選ぶときはシートの硬さもしっかりとチェックするようにしてください。