九州地方には、福岡県と長崎県、熊本県、佐賀県の4つ県にまたがって世界文化遺産が存在します。
それぞれを、明治日本の産業革命遺産、「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産と言い、毎年全国からたくさんの人が観光に訪れています。
どの遺産も非常に価値のあるものですから、九州地方へ旅行に行った際は必ずチェックしておきたいところです。
そこで今回の記事では、九州地方の世界文化遺産をまるっと紹介していきましょう。
明治日本の産業革命遺産
こちらの世界遺産は、明治期に西洋文化の影響を受けて発展した歴史が認められたものです。
当時のアジア地域は西洋文明と比較して、科学技術などで大きく引き離されていましたが、そんなアジアの中でも日本はいち早く近代化に成功。
長い鎖国時代があったのにもかかわらず、僅かな期間で発展を成し遂げたとあって世界から注目を集めました。
ここでは、そんな明治日本の産業革命遺産の見どころを紹介しましょう。
グラバー園

グラバー園は、現存する最古の木造洋風建築物です。
初期タイプの洋風建築は大変珍しいということを評価され、世界遺産として登録されました。
もちろん、施工を手掛けたのは日本人大工です。
和の魂と、洋のデザインが一体化した希少な洋館ですから、ぜひチェックしてみてください。
軍艦島(端島炭鉱)

軍艦島は、長崎港から2000mほどの沖合にある無人島です。
こちらの島は、1890年に炭鉱として創業を開始した歴史を持っています。
昭和49年には閉山してしまったものの、現在でも当時を思わせる廃墟群が趣を感じさせます。
見学の際は、ツアーに申し込む必要がありますので、参加希望の人は長崎市のコールセンターまで問い合わせてみるとよいでしょう。
海上に浮かぶ、今はなき炭鉱都市の歴史に想いを馳せてみてください。
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群は、宗像三女神を祀る神社をはじめとする歴史遺跡が世界遺産として認定されたものです。
宗像三女神とは、すなわち「田心姫神(たごりひめのかみ)」と「湍津姫神(たぎつひめのかみ)」、そして「市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)」を指します。
これらの女神は、古くから地元の人々から畏れられ、崇められてきました。
こちらの項では、そんな「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群の観光スポットを見ていきましょう。
宗像大社辺津宮(むなかたたいしゃへつみや)

宗像大社辺津宮は、宗像三女神を祀っている神社の総本宮として知られています。
市杵島姫神を祀る神社で、太古の昔から手厚い信仰を集めています。
こちらの神社の見どころは、本殿の辺津宮と神宝館(しんぽうかん)でしょう。
辺津宮は、1578年に建立された歴史ある建造物で、荘厳な雰囲気が常に神秘的な佇まいを漂わせています。
また、こちらの神社の神宝館(しんぽうかん)には、およそ8万点の国宝を重要文化財として収容展示してあります。
宗像大社中津宮(なかつみや)

宗像大社中津宮は、九州本土から7kmほど沖合にある大島の神社です。
こちらの神社では、宗像三女神の中の湍津姫神を祀っています。
離島であるため参拝の機会が得られにくいという方は、辺津宮を訪問してみるとよいでしょう。
辺津宮の裏手には宗像大社の第二宮があり、この祠でも中津宮の魂が祭られています。
余談ですが、大島は七夕伝説の発祥の地域とも言われており、縁結びのご利益でも有名です。
宗像大社中津宮の付近は、良縁の神様を祀っている神社がありますので、こちらも合わせて参拝してみてはいかがでしょうか。
宗像大社沖津宮(おきつみや)

宗像大社沖津宮は、宗像三女神の中でも、田心姫神を祀っています。
こちらの神社は残念ながら、神職者しか渡れません。
たくさんのしきたりに守られていることでも知られており、沖ノ島からは一木、一草、一石たりとも持ち帰ってはいけないと決められています。
さらに、同島で見知ったことは口外厳禁とも言われているなど、さまざまな言い伝えに満ちています。
渡島できないのは残念ですが遠方から眺めることは可能ですので、手を合わせて大いなる女神に畏敬の念を捧げましょう。
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産
欧州諸国がぞくぞくと海外へ進出した大航海時代。
そんな大航海時代には、日本にもキリスト教が伝わりました。
江戸幕府からの度重なる弾圧がありましたが、キリシタン達は信仰のよりどころとして独自の文化を形成し、次世代へとつないでいます。
そういった先人たちの努力が認められたのが、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産です。
大浦天主堂(おおうらてんしゅどう)

大浦天主堂は、長崎でもとりわけ有名な観光地です。
先ほども触れたとおり、キリシタンたちは幕府から苛烈な弾圧を受けましたが、こちらの教会ではたくさんの信者がキリストに信仰を捧げていました。
そういった活動が世界に知られ、「信徒発見」として大きな話題となったのです。
キリスト教徒が弾圧されている国において、信者が辛抱強く祈りを捧げていたことは、当時のローマ教会にとっても大変嬉しい出来事だったのです。
こちらの教会の見学時は、ゴシック様式とロマネスク式の建築美、そしてステンドグラスの色彩に注目しましょう。
天草の崎津集落(あまくさのさきつしゅうらく)

天草の崎津集落は、キリスト教弾圧期においても粘り強く信仰を続けていた民衆が住んでいた集落です。
この町では、キリスト教だけでなく仏教や神道も溶け込んでおり、散策するだけでも独特の雰囲気が堪能できます。
ちなみに、キリスト教の復活をシンボル化した崎津教会は、「踏み絵」が行われた場所に建てられています。
同地を訪問の際は、教会にも足を運んでみてください。
まとめ
九州地方には、合計で3つの世界文化遺産が存在します。
どの遺産も、歴史に残る人類の素晴らしい歩みを記念したものです。
レジャー施設巡りやグルメ満喫の旅も大変有意義ですが、歴史探訪、人類賛美の旅もまた、人生の思い出となる素晴らしいものと言えます。
みなさんも世界文化遺産の周遊ツアーをご堪能あれ。